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美術コース1年生 春期宿泊研修を終えて
4月だというのに肌寒く、午後からあいにくの悪天候の中、7期生の奈良県吉野郡の匠の聚での研修は始まった。
  幸い欠席者もなく、毎回心配するバスに酔う生徒も今回はどうやらでなかったようである。
  匠の聚到着後すぐに昼食をとり、ギャラリー見学をしてレポート作成のためのメモを取らせ、いよいよ先生方のアトリエを訪問させていただくこととなった。
我々教員にとっては、もう4度目となるこの研修も、当然生徒達には全くの初体験であるので、少々緊張気味のようである。
クラスを2班に分けそれぞれ時間差をもうけ、アトリエに向かった。
  私は前半のクラスを引率し、最初に洋画家の小西保文先生のアトリエを訪ねた。
個人的なことであるが、私が大学時代制作した作品を、東京の二紀展に出品する決心をしたのは、小西先生の作品を拝見した事がきっかけなので、私自身も不思議な御縁を感じている。
  「こんな田舎の遠いところへよく来てくれたねえ。」
最初に発せられたこの言葉からもわかるように、先生のお人柄が生徒達の緊張は一瞬にして溶き解して下さった。
小西保文先生のクロッキーを真剣に見入る生徒

描きためたクロッキーを数々披露していただき、先生のお話の中で、クロッキーは必ず自分自身の制作を助けてくれることや、制作過程で、うまくいかずに作品を途中で塗りつぶしてしまうことがたびたびあるが、下に描いた作品は、決して無駄ではなく、上から描く作品にも深みがでることや、自分で失敗したと思っていても、必ず失敗は失敗でなく生かされるのだということを、プロの作家としての先生御自身の言葉で語っていただけた事は、生徒達の心に滲み入ったのではないかと思う。
  2日目の午前中は陶芸の制作。手びねりでの自由制作と、電動轆轤による制作であるが、例年通り陶芸家の山本喜一先生の手から生み出される生き物の様な粘土の造形には生徒から、感嘆の声が挙がっていた。
  昼食後、午後より、前日にトンボ玉のデモンストレーションを実施していただいた森野政順先生の御指導で、七宝焼きの制作を開始。
好きな形の銅版を選び、好みの色や技法にあった絵の具を探す様子は、さながら 宝石店でアクセサリーを選ぶような眼差しである。
  出来上がった思い思いの作品を友達同士で見せ合う頃には、ようやく日差しも春らしく暖かくなり、帰路を急ぐ我々を照らし始めた。
  入学後間もない生徒達は、たった2日間の研修で確実に何かを得、そして何かが変わったことを強く確信できた大変有意義な研修であった。
静寂の中 コンテの音だけが響く
楽しかった二日間の研修も最後。皆でポーズ!

宿泊研修1日目。バスで2時間程はしり、やっと匠の聚へと着いた。

バスから降りると、そこはバスの中とは違って、少し肌寒く感じた。周りは、木々に囲まれていて、都会とは違う新鮮な空気がとても心地良く思った。

茶畑と八重桜のコントラスト

昼食を終え、ギャラリー見学が始まった。その中で、1番印象があったのは、森野政順先生の『樹Ⅱ』の作品で、ただ単純に、すごく可愛いと思った。
青のガラスアートが幻想的にその小物とあっていたのも印象に残った1つだった。
他の作品である、『母神』と足が鳥の足になっていたりと独創的だ。

でも私は、『母神』を見た時、「足が、しばられてるのか?」というのが第一印象で、橋本先生は、私とは違う第一印象を浮かべたらしい。先生は、「見る人によって見方が変わる」とおっしゃっていた。確かにそうかもしれない。

絵画で、印象に残ったのは、岸本ゆか先生だ。描いている作品は、林や風で人間が一切ない風景画を描いている作品だった。主に自然を題名にした絵画で、ただそのままを写したのではない、力強さがそこにはあった。綺麗だけど大きくて、私は何度か岸本ゆか先生の『水の影』を見ていた。
小西先生の絵画も、動きがあって、自由に絵を描いていたのが、よく判った。
女性と男性が本当にうまく描かれていて、日常のように見えた『BUS STOP』。この絵の女性は、肌を気にしているように見えた。私なりに作者の意図を読みとると、絵画が何かの物語の1つのようで、とても楽しかった。

ギャラリー見学が終わり、アトリエ見学へと移った。4人の先生達から、とてもためになるお話を聞かせていただいた。
小西先生のお話で、昔描いた絵は、のちのち役にたつとのこと。思いあたることは、「何であの時描かなかったんだろ・・・」と後悔してしまうことが、いくつかあった。
そして、偶然を捕まえる、という名言も頂いた。先生は、本当はこんな風にするつもりはなかったけれど、偶然、ある出来事からこの作品ができたのだと言っていた。
一偶然とはいえ「面白い」と、あっさり当初の作品と、違うように変えてしまう先生の度胸と心意気に、すごくびっくりした。
その後も、先生は色々と、教えてくださった。しかし、時間が思ったよりも早く終わって、残念だった。また、機会があれば聞かせていただきたい。
小西保文先生のアトリエにて

宿泊研修2日目。午前中は陶芸を体験した。想像とは違い、まったく苦痛はなかった。最初は自分の手で、小学生に還ったように自由に、自分が作りたいようにつくった。最後は、粘土が足りなかったので、作りたかった3つ目の小物は作れなかった。出来映えは、他の人に比べるとだいぶ下手だ。しかし、とてもいい経験をしたと思う。電動轆轤を使った作品は、思った以上の出来でとても、嬉しかった。
陶芸は、自分の心を表わしてるようで、自分を見つめ直す、いい機会だと思う。
一自分に合ったものを作っていく一。美術をするうえで、また1つ、教えられたことが増えた。

3<3での作品が完成!
とてもいい笑顔
真剣なまなざしで
集中、集中!
わたしの力作 どう?
午後は、七宝焼で、実に細やかな作業だった。慎重に手を動かし、流す。やっとできた時は、正直言って思ったのとは違った作品が出来上がって、落ち込んでしまったが、すごく楽しかった。
トンボ玉の実演を食い入る様に見る生徒達
この宿泊研修は、本当に時間が経つのが早く、とても楽しいものだった。
普段やらない陶芸や七宝焼の体験は、大切にしておきたい。もし、今後また、この様な宿泊研修の体験に取り組むのなら是非進んでやってみたい。
出来上がった七宝焼を前にポーズ
 

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